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NISAの非課税枠消滅時の移管先

 「NISAの期間」で解説したように、NISA口座の非課税期間は5年なので、期間がくれば消滅します。例えば、2014年に投資を開始した場合、6年後の2019年には非課税枠は消えてしまいます。

 非課税枠が消滅すれば、NISA口座で購入した資産はそのまま預けておけなくなります。では、その時にNISA口座で投資していた資産は、どこに移管すればいいのでしょうか?

非課税期間が切れた―NISA資産の移管先には、以下があります。


資産状況ごとのロールオーバー

 NISA口座の非課税期間が過ぎた場合、"新しいNISA口座への移管(=ロールオーバー)"か、"課税口座への移管"をする必要があります。これらの内、"ロールオーバー"は単純に非課税期間を伸ばすことが出来るため、デメリットが少なく、おすすめの移管方法です。

 ロールオーバーとは、非課税期間が切れたNISAの資産を、"非課税期間が切れた年に新しく追加される―NISA口座"に移管することです。移管後は新しく非課税期間が設定されるため、非課税期間が5年延長されることになります。しかし、ロールオーバーをすると、"新しく追加される投資枠"を"移管した額だけ消費"してしまうので、新規で投資できる額は少なくなります。また、NISAの口座開設期間は2023年までなので、それ以降はロールオーバーできなくなります(ロールオーバーは、新しく追加されたNISA口座に資産を移管する―という方法であるため、新規にNISA口座が追加されなくなれば実行できなくなる)。

 ロールオーバーは、今の口座から、他の口座に資産を移管するわけですから、状況によって問題が発生する場合があります。具体的には、移管時に100万円を超えているか、超えていないかによって移管に若干の違いが出てきます。資産状況ごとの移管の違いは、以下の通りです。

 まず、移管したい資産が100万円を超えていた場合、"100万円"は新規のNISA口座に移管できますが、"100万円を超えている分"は課税口座に移管する必要があります。なぜなら、(1)移管するときには5年運用しているわけですから、資産額が100万円を超えている可能性がありますが、(2)新しく追加される投資枠の―限度額は100万円しかないからです。したがって、100万円を超える額についてはNISA口座に入れられないため、課税口座に移管することになります。

 一方、移管したい資産が100万円を超えていない場合、全額を新規のNISA口座に移管できます。なお、新しい投資枠にNISA資産を移管した後の―残りの投資枠には、新規で投資を行うことも可能です。例えば、80万円の資産を移管した場合、残りの20万円(=100万円-80万円)の非課税枠には、追加投資を行うことができます。

図:100万円を超えた場合のロールオーバー
100万円を超えた場合のロールオーバー


課税口座への移管の問題点

 ロールオーバーをする場合、100万円を超える額は新しいNISA口座に入れられません。100万円を超える額は、課税口座に移管することになります。

 非課税期間の終了時には、非課税期間を過ぎた―NISAの全資産を、課税口座に移管することも出来ます。しかし、課税口座への移管は、おすすめできません。資産額が減っているにもかかわらず、課税されるケースがあるからです。

 具体的には以下です。まず、NISA口座から課税口座に移管した場合、"移管した時点での価格"で取得したとみなされます。そのため、買った額より下がった時に課税口座に移管すると、下がった額が取得価格になってしまいます。この"下がった額が取得価格になった状況"で移管後に値上がりした場合、実際には損をしていても(=買った額よりも資産額が低くても)、課税されることになります(売らなければ課税されません)。

 上記の理由により、買った額より下がっている場合には、課税口座に移管すべきではありません(ロールオーバーを選択すべき)。ただし、今のNISAの制度ではロールオーバーが一回しかできないため、10年後には必ず課税口座に移管しなくてはなりません。したがって、この"儲かっていないのに課税される危険性"は、回避できません。この点は、NISAの大きな弱点なので、知っておきましょう。

図:損をしているのに課税されるケース
損をしているのに課税されるケース








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