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NISAのデメリットとは?はじめる前に知っておきたい3つの欠点

 NISA口座では基本的に投資商品で運用するため、損失が出ることもあります。NISA口座で損失が出た場合、課税口座で損失がでた場合よりも、税金上不利になります。NISA口座で損失が出た場合のデメリットは以下です。


NISA口座の損益通算

 NISA口座は、利益が出た場合には課税口座よりも有利ですが、損失が出た場合には課税口座よりも不利になります。不利だと言える理由のひとつが、"NISA口座の損失"が、"課税口座や、NISA口座内での利益"と損益通算できない点です。では、損益通算ができないと何が問題なのでしょうか? 損益通算できないと、利益が出ていないのに課税されるケースがあります。具体的には以下です。

 まず、課税口座の場合、"損失"と、"利益"とを損益通算できます。例えば、A証券(特定口座)で20万円の損失、B証券(特定口座)で20万円の利益が出た場合、利益は0円(=-20万円+20万円)になるため、税金はかかりません。一方、NISA口座の場合、"損失"と、"利益"とを損益通算できません。そのため、先ほどの例の場合でも税金がかかってしまいます。A証券(NISA口座)で20万円の損失、B証券(特定口座)で20万円の利益が出た場合、利益が20万円(=0円*+20万円)になるため、税金がかかります。上記のように、NISA口座は損益通算ができないため、損失が出た場合に課税口座よりも不利になります。
* NISA口座で出た損失分は、"無かったこと"になります。

図:NISA口座の損失は損益通算できない
NISA口座の損失は損益通算できない


NISA口座の3年間の繰越控除

 NISA口座の損失は、他の口座の利益と損益通算できません。それは、NISA口座の損失は、無かったことになってしまうからです。上記のようにNISA口座の損失は"無かったこと"になるため、他にも困ったことが起こります。困ったこととは、3年間の繰越控除もできなくなること―です。具体的に見ていきましょう。

 通常、投資信託や、株式投資などで損失がでれば、3年間の繰越控除*が利用できます。ですが、先ほど解説したように、NISA口座で発生した損失は、無かったことになります。したがって、NISA口座の損失は、3年間の繰越控除が利用できません。
* 繰越控除とは損失を翌年以降に繰り越して、その損失と、翌年以降に発生した利益とを相殺(=利益から損失分を引く)して税金を安くできる制度のことです。

図:NISA口座の損失は繰り越せない
NISA口座の損失は繰り越せない


下がった価格での取得価格の上書き

 NISA口座で発生した損失は無かったことになるため、損益通算も、繰越控除もできません。しかし、"損失が無かったことになる"のが問題なら、損失を確定させなければいい(=売却を行わなければいい)と考える方もおられるかもしれません。含み損であれば、元々、損益通算も繰越控除もできないので問題になりません。持ち続けながら、再び値上がりするのを待てばいいのです。

 ただ、NISA口座は非課税期間が5年と限られており、非課税期間が過ぎれば"ロールオーバー"か"課税口座への移管"のいずれかを行い、NISA口座から資産を移管しなくてはなりません*。したがって、値上がりを待つにしても、制限時間があるのです。
* 詳しくは、NISAの非課税枠消滅時の移管先を参照。

 上記の"課税口座への移管"を行った場合、移管したときの価格で取得したと見なされます。そのため、含み損のまま値上がりを待っていても、価格が下がった状態で非課税期間が切れてしまった場合、"元より下がった価格が取得価格"になってしまいます。この"元より下がった価格での取得価格の上書き"に"よって起こる問題は、利益が出ていないのに課税されてしまう可能性があることです。具体的に見ていきましょう。

 (1)通常、売却価格から取得価格を引き、計算結果がプラスであれば課税対象になりますが、(2)NISAでは移管によって取得価格が上書きされるため、取得価格が"本来の取得価格"(=買った価格)よりも下がる可能性があります。したがって、NISAでは、取得価格が本来の取得価格より低くなる恐れがあるため、利益が出ていないのに課税される可能性があります。

図:取得価格の上書きで、利益が出ていないのに課税されてしまう可能性がある
取得価格の上書きで、利益が出ていないのに課税されてしまう可能性がある

 このNISAの制度上の欠陥により、高い非課税メリットを狙うほど、"下がった価格での取得価格の上書きリスク"が高まることになります。このことを詳しく見ていきましょう。

 本来、NISA口座で運用する資産には、期待リターンが高いもの(株式など)ほど向いています。リターンが大きいほど、非課税メリットも大きくなるからです。しかし、期待リターンが高い資産ほどリスクも高いため、値下がりする可能性も高くなります。したがって、大きな非課税メリットを受けるために期待リターンが高い資産で運用すると、下がった価格での取得価格の上書きリスクが高まることになります。








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