前回、分配金を再投資するかどうかで、単利運用と複利運用とに分かれると解説しました。また、あなたが若い方で、長期でお金を増やしたいと思っているのなら、単利運用ではいけないと話しました。
なぜなら、単利運用と、複利運用の運用益の差は、長期になればなるほど大きくなるからです。具体的には、複利運用の方が運用益が多くなります。計算で数字にした方がわかりやすいので、以下で試算してみます。
例えば、始めに100万円投資資金があるとして、年5%の利益が投資で得られるとしましょう。この条件で、10年運用するとします。
この場合、単利運用の運用結果は、150万円。複利運用の運用結果は、約163万円でした。両方の差は、13万円もあります。この計算は、電卓で簡単できますので、あなたもやってみてください。
以下で、計算方法を解説します。
1.単利運用の運用結果の計算方法は、まず、100万円×5%で1年間の運用益を計算します。100万円×5%で、5万円ですね。
次に、その5万円を10倍すれば10年間の運用収益が計算できます。5万円×10年で、50万円ですね。
最後に、その50万円と、元本の100万円とを足した額が、単利運用の運用益になります。50万円+100万円で、150万円ということになります。
単利運用の方は元本がずっと変わらないので、電卓でも簡単に計算できたと思います。
2.複利運用の運用結果の計算方法は、100万円×1.05の10乗で計算します。計算結果は、約163万円(162.8894627)になりました。
式を詳しく解説すると、以下のようになります。
複利運用は利益(この例の場合は5%)を元本に加えるため、2年目の元本は、元本+1年目の利益になります。この例だと100万円×1.05で、105万円です。3年目の元本は、1年運用後の元本+2年目の利益になります。この例だと105万円×1.05で、110.25万円です。
(1年目の運用)100×1.05=105
(2年目の運用)105×1.05=110.25
(3年目の運用)110.25×1.05=115.7625
(4年目の運用)115.7625×1.05=121.550625
...
(10年目の運用)155.1328216×1.05=162.8894627
よって、運用益は、約163万円になります。
複利運用の方は、元本が変わっていくので、電卓での計算も特殊な方法になります。1.05と入力した後に"×ボタン"を2回押して、100と入力。次に"="を10回押すと計算できます。
なお、この計算方法は、CASIOの電卓での方法です。他のメーカーの電卓だと、手順が異なるかもしれません。
エクセルで計算する場合は、=100*1.05^10 と入力すれば、上記の計算ができますよ。また、あなたがエクセルを持っておられない場合は、googleの検索窓でも、上記の式を入力すれば計算できます。
複利運用の方が長期投資に向いている理由は、複利運用の元本の変化に注目するとよくわかります。1年運用した後は、105万円(=100×1.05)に元本が増えます。増えた元本は、5万円ですね(105万円-100万円)。
2年運用した後は、110.25万円(=105×1.05)に元本が増えます。増えた元本は、5.25万円ですね(110.25万円-105万円)。
お気づきになりましたか? 2年目は"前の年の利息"も運用することになるため、前の年よりも多くの利息を受け取ることができます。運用年数が増えれば、利息が利息を生む状態になるため、さらに利益が増えていきます。
これが、長期投資をするなら複利運用が良い―という理由です。長期投資をするなら、ぜひ、利息が利息を生む複利運用をしてみてください。
ただし、複利運用をするには、再投資型のファンドであれば何を選んでもいいというわけではありません。複利運用は、少しのコスト差が大きく増幅されてしまいます。
次回は、"複利運用に大きく影響するコスト"について書きたいと思います。
楽天証券には、投資信託を毎月自動で取り崩してくれるサービスがあります。
このサービスをつかうと、ほったらかしで、遊んでいるお金の年4.8%(または年3.6%)が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
楽天証券は、楽天市場・楽天モバイル・楽天銀行で知られる、楽天グループに属する証券会社です。
楽天証券の総合口座数は864万口座、預り資産は、18.1兆円を超えています(2022年12月末時点)。
また、楽天証券で投資信託を保有、または、積み立ての設定をしている人は、274万人を超えています。
実際に、楽天証券の「投資信託の自動取り崩しサービス」をつかった履歴をごらんください。
下のように、振込日(1~28日の中で好きな日を指定できます)の10日に間に合うように、投資信託を自動で売ってくれます。

また、取り崩したお金は、下のように自動で楽天銀行の口座に振り込んでくれています。
なお、取り崩しの際にかかる譲渡益税(利益の約20%)が源泉徴収されています。
※ちなみに、自動で振り込んでもらうには、楽天証券の口座と、楽天銀行の口座と連携させる「マネーブリッジ連携」というかんたんな設定が必要です。

全世界株式に投資すると、年7%のリターンが期待できます。
>> 全世界株式のリターンが7%といえる詳しい理由は、この記事で解説しています。
>> 過去34年のデータから計算した、全世界株式のリターン7%の理由はこちら
全世界株式に投資する方法はいくつかありますが、投資信託を使うのが簡単です。
全世界株式に投資する投資信託のなかでは、手数料が安い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下オール・カントリー)」がおすすめです。
オール・カントリーの手数料は年0.2%程度で、全世界株式に投資する投資信託のなかで、最安クラスです。
なお、全世界株式のリターンは年7%といいましたが、取り崩しは、年7%ではなく「年4.5%」にするのがベストです。
なぜなら、全世界株式のリターン:7%のうち、2.3%はインフレで増えた分だからです。
インフレで増えた2.3%分は、取り崩さずにそのまま運用をつづけて、その運用益で将来のインフレにそなえます。
また、先ほど解説したように、オール・カントリーには、年0.2%程度の手数料がかかるため、その分も取り崩さないでおきます。
したがって、全世界株式のリターン:7%から、インフレ分:2.3%と、オール・カントリーの手数料:0.2%を引いた年4.5%を取り崩すのがベストです。
実は、投資信託を毎月手動で取りくずす場合、かなり手間がかかります。
取りくずしの手間を、全世界株式の投資信託を取りくずす場合を例に解説すると、
1.まず、今月の取りくずし額を計算します。
全世界株式の場合、年4.5%が期待リターンですので、毎月「4.5%の12分の1」まで取りくずしても大丈夫です。
つまり、4.5%÷12ヶ月で、0.375%ですね。
たとえば、現在の資産額が120万円の場合、4,500円(=120万円×0.375%)と計算できます。
2.つぎに、1.で計算した額を売る、売却注文をだします。
証券会社のホームページにログインして、先ほど計算した額だけ、全世界株式の投資信託の売却注文をだします。
3.そして、売却注文が成立した翌日か、翌々日までまって、出金指示をだします。
実は、投資信託は、売却注文が成立しても、その日に出金指示をだせません。
出金指示ができるようになるのは翌日か、翌々日になってからです。
このように1日で注文・出金指示の、両方をすませることができません。
そのため、売却注文をだす日と、出金指示をだす日と、2日にわたってホームページで操作する必要があるのです。
自動取りくずしサービスがないと、毎月、この取りくずし作業をやらなければなりません。
楽天証券の自動取りくずしサービスなら、毎月の取りくずし率を、0.1%以上0.1%単位で設定できます。
ここで設定した取りくずし率の分だけ、毎月自動で投資信託を売却してくれます。
全世界株式(年4.5%のリターン)の投資信託を取りくずす場合、月0.4%(年4.8%)、または月0.3%(年3.6%)に設定すると良いでしょう。
また、取りくずしたお金は、毎月指定した日(1~28日から好きな日を指定できます)に、楽天銀行の口座に振り込んでもらえます。
なお、設定した日に間に合うように、投資信託を売却してくれため、お金が必要な日よりまえに振込日を指定する必要はありません。
そのため、楽天証券を使えば、手間をかけずに、遊んでいるお金の年4.5%が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
1.楽天証券の口座を開設したら、全世界株式に投資する投資信託(オール・カントリーがおすすめ)を買って、その投資信託を、月0.4%(または0.3%)取り崩す設定をします。
2.楽天証券の口座と、楽天銀行の口座とを連携させる「マネーブリッジ連携」という設定をします。
この2つを最初にいちど設定するだけでおわりです。
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楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスを使うことで、遊んでいるお金から収益が上がります。
また、はじめるのもかんたんで、全世界株式の投資信託を買って、月に取りくずすパーセント(0.4%か0.3%)を決めるだけです。
楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスがなければ、毎月手間のかかる取り崩しを自分でしなければなりません。
また、銀行預金ではお金はほとんど増えませんので、楽天証券での投資信託自動取り崩しサービスをおすすめします。
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