「長期投資の期間はどのくらい?」で、当サイトでは、長期投資の期間は、30年以上とする―と決めました。記事では、長期投資を30年とする理由を、長期投資の効果は期間が長くなるほど大きくなり、30年くらいで大きな効果になるからだ―と解説しました。
記事で解説したように、年5%のリターンが見込める投資をする場合の―"投資期間ごとの1年あたりの収益差"は、以下のようになります。まず、5年運用した場合の1年あたりの収益は、5.5%になります。次に、30年運用した場合の1年あたりの収益は、11.1%になります。
ただ、30年運用した方が1年あたりの収益が多くなる理由は、解説しませんでした。では、なぜ、長期投資した方が、1年あたりの収益が多くなるのでしょうか?
長期投資の場合、投資したお金が何年にもわたって運用されるため、複利効果が大きくなるからです。複利効果をより高めるためのポイントは、以下です。
(1)長期投資ではわずかなコストの差が増幅されるため、信託報酬が安い投資信託を選ぶといいです。わずかなコスト差の、運用益への影響の計算例についてはこちら→複利運用に大きく影響するコスト
(2)分配金の再投資の有無で運用益に大きな差が生まれるため、分配金は再投資するといいです。『証券投資の基礎』によると、"日経平均(配当金込み)指数"と、"日経平均指数"との比較(期間は1965年初~2000年末)において、「年複利では2000年12月末時点で再投資がある場合の8.26%に対して,配当金を考盧しない場合は6.93%と大きな差となっていた.*」―そうです。
* 野村證券投資情報部 『証券投資の基礎』 丸善株式会社、2002年、157頁より引用
図:複利効果をより高めるためのポイント
信託報酬の運用益への影響(投資期間30年・リターン) "信託報酬0.5%"は+276%、"信託報酬1.0%"は+224%
配当金再投資の運用益への影響(日経平均の年複利データ)* "配当金再投資"は8.26%、"再投資せず"は6.93%