「信頼できる期待リターン・予測リスクのデータ取得方法」で、信頼できるデータの入手方法を解説しました。これで、1種類の資産に投資する場合の―リスク数値を、入手できるようになりました。
ただ、複数の資産を組み合わせて投資すると、リスクの数値が変わってしまいます。なぜなら、複数の資産を組み合わせて投資すると、リスクが軽減されるからです。なぜ、リスクが軽減されるかというと、(1)値動きの異なる資産を―組み合わせて投資すると、リスクが軽減されます*が、(2)資料(=年金の運用機関のデータ)に記載されている4資産(国内債券・国内株式・外国債券・外国株式)は、全て値動きの異なる資産だからです。
* 値動きの方向の違いにより、軽減の効果は異なる。(値動きが反対に近いほど、リスク軽減の効果は大きくなる。)
しかし、資産を組み合わせると、リスクの数値が変わってしまうとしても、心配はいりません。なぜなら、複数の資産を組み合わせた場合の―リスク数値は、計算で求めることができるからです。では、どうやって計算するのでしょうか?
組み合わせた資産全体の分散を計算し、計算結果を標準偏差(=リスク)に変換します。具体的な計算手順は、以下です。なお、ここでは、2つの資産を組み合わせた場合と、3つの資産を組み合わせた場合とを、解説していきます。
- 2つの資産(資産A・資産B)を組み合わせたときのリスクの計算方法
- 3つの資産(資産A・資産B・資産C)を組み合わせたときのリスクの計算方法
2つの資産(資産A・資産B)を組み合わせたときのリスクの計算方法
あ. | Aの投資割合・Aのリスクの各2乗を掛け合わせ、Bの投資割合・Bのリスクの各2乗を掛け合わせ、最後に全て足す。 |
い. | 2と資産Aの投資割合とリスク、資産Bの投資割合とリスク、AとBの相関係数をかけたものを―"あ"に加える。 |
う. | "い"を標準偏差に変換する。(="い"の平方根を求める。) |
図:2資産を組み合わせた場合のリスク計算**
以下は、国内株式と、外国株式を組み合わせた場合(投資割合は、国内株式50%・外国株式50%)のリスクの計算例です。
0.5^2*0.2215^2+0.5^2*0.1959^2
+2*0.5*0.2215*0.5*0.1959*0.27=0.02772(分散)
→標準偏差に変換 √0.02772=0.167 16.7%(標準偏差=リスク)
3つの資産(資産A・資産B・資産C)を組み合わせたときのリスクの計算方法
ア. | Aの投資割合・Aのリスクの各2乗を掛け合わせ、Bの投資割合・Bのリスクの各2乗を掛け合わせ、Cの投資割合・Cのリスクの各2乗を掛け合わせ、最後に全て足す。 |
イ. | 2と資産Aの投資割合とリスク、資産Bの投資割合とリスク、AとBの相関係数をかけたものを―"ア"に加える。 |
ウ. | 2と資産Aの投資割合とリスク、資産Cの投資割合とリスク、AとCの相関係数をかけたものを―"イ"に加える。 |
エ. | 2と資産Bの投資割合とリスク、資産Cの投資割合とリスク、BとCの相関係数をかけたものを―"ウ"に加える。 |
オ. | "エ"を標準偏差に変換する。(="エ"の平方根を求める。) |
図:3資産を組み合わせた場合のリスク計算**
以下は、国内株式・外国株式・外国債券を組み合わせた場合(投資割合は、国内株式40%・外国株式30%・外国債券30%)のリスクの計算例です。
0.4^2*0.2215^2+0.3^2*0.1325^2+0.3^2*0.1959^2
+2*0.4*0.2215*0.3*0.1959*0.27
+2*0.4*0.2215*0.3*0.1325*-0.25
+2*0.3*0.1325*0.3*0.1959*0.56=0.01655(分散)
→標準偏差に変換 √0.01655=0.129 12.9%(標準偏差=リスク)
※ 上記の計算式に使った数値(リスク・相関係数)は、以下のサイト資料から入手しました。
基本ポートフォリオの検証について(リンク切れ)
** 砺波元 『資産運用のパフォーマンス測定』 金融財政事情研究会、2000年、241-244頁を参考。
楽天証券には、投資信託を毎月自動で取り崩してくれるサービスがあります。
このサービスをつかうと、ほったらかしで、遊んでいるお金の年4.8%(または年3.6%)が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
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全世界株式に投資すると、年7%のリターンが期待できます。
>> 全世界株式のリターンが7%といえる詳しい理由は、この記事で解説しています。
>> 過去34年のデータから計算した、全世界株式のリターン7%の理由はこちら
全世界株式に投資する方法はいくつかありますが、投資信託を使うのが簡単です。
全世界株式に投資する投資信託のなかでは、手数料が安い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下オール・カントリー)」がおすすめです。
オール・カントリーの手数料は年0.2%程度で、全世界株式に投資する投資信託のなかで、最安クラスです。
なお、全世界株式のリターンは年7%といいましたが、取り崩しは、年7%ではなく「年4.5%」にするのがベストです。
なぜなら、全世界株式のリターン:7%のうち、2.3%はインフレで増えた分だからです。
インフレで増えた2.3%分は、取り崩さずにそのまま運用をつづけて、その運用益で将来のインフレにそなえます。
また、先ほど解説したように、オール・カントリーには、年0.2%程度の手数料がかかるため、その分も取り崩さないでおきます。
したがって、全世界株式のリターン:7%から、インフレ分:2.3%と、オール・カントリーの手数料:0.2%を引いた年4.5%を取り崩すのがベストです。
実は、投資信託を毎月手動で取りくずす場合、かなり手間がかかります。
取りくずしの手間を、全世界株式の投資信託を取りくずす場合を例に解説すると、
1.まず、今月の取りくずし額を計算します。
全世界株式の場合、年4.5%が期待リターンですので、毎月「4.5%の12分の1」まで取りくずしても大丈夫です。
つまり、4.5%÷12ヶ月で、0.375%ですね。
たとえば、現在の資産額が120万円の場合、4,500円(=120万円×0.375%)と計算できます。
2.つぎに、1.で計算した額を売る、売却注文をだします。
証券会社のホームページにログインして、先ほど計算した額だけ、全世界株式の投資信託の売却注文をだします。
3.そして、売却注文が成立した翌日か、翌々日までまって、出金指示をだします。
実は、投資信託は、売却注文が成立しても、その日に出金指示をだせません。
出金指示ができるようになるのは翌日か、翌々日になってからです。
このように1日で注文・出金指示の、両方をすませることができません。
そのため、売却注文をだす日と、出金指示をだす日と、2日にわたってホームページで操作する必要があるのです。
自動取りくずしサービスがないと、毎月、この取りくずし作業をやらなければなりません。
楽天証券の自動取りくずしサービスなら、毎月の取りくずし率を、0.1%以上0.1%単位で設定できます。
ここで設定した取りくずし率の分だけ、毎月自動で投資信託を売却してくれます。
全世界株式(年4.5%のリターン)の投資信託を取りくずす場合、月0.4%(年4.8%)、または月0.3%(年3.6%)に設定すると良いでしょう。
また、取りくずしたお金は、毎月指定した日(1~28日から好きな日を指定できます)に、楽天銀行の口座に振り込んでもらえます。
なお、設定した日に間に合うように、投資信託を売却してくれため、お金が必要な日よりまえに振込日を指定する必要はありません。
そのため、楽天証券を使えば、手間をかけずに、遊んでいるお金の年4.5%が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
1.楽天証券の口座を開設したら、全世界株式に投資する投資信託(オール・カントリーがおすすめ)を買って、その投資信託を、月0.4%(または0.3%)取り崩す設定をします。
2.楽天証券の口座と、楽天銀行の口座とを連携させる「マネーブリッジ連携」という設定をします。
この2つを最初にいちど設定するだけでおわりです。
・公式ページ
楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスを使うことで、遊んでいるお金から収益が上がります。
また、はじめるのもかんたんで、全世界株式の投資信託を買って、月に取りくずすパーセント(0.4%か0.3%)を決めるだけです。
楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスがなければ、毎月手間のかかる取り崩しを自分でしなければなりません。
また、銀行預金ではお金はほとんど増えませんので、楽天証券での投資信託自動取り崩しサービスをおすすめします。
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