株式はインフレに強く、債券はインフレに弱いです。株式の方がインフレに強いなら、投資用の資金はすべて、インフレに強い―株式に投資しようと考えられる方もおられるかもしれませんね。
ただ、投資用の資金は、インフレに強い―株式にすべて投資すればいいのか? というと、そうとは言い切れません。なぜなら、人によっては、株式の激しい値動きに耐えられないからです。株式の暴落が起きると、1年で資産が半分になってしまうこともあります。
ただし、この株式の激しい値動きは、長期投資をすれば、安定することも分かっています。過去50年では、日本株式を25年間保有したときの1年あたりの収益率は、「最高が13.2%で最低が8.2%、平均10.7%(インフレ調整前)*」になっていたそうです。
* 北村慶 『ほぼ確実に世界の経済成長があなたの財産に変わる最も賢いETF海外投資法』 朝日新聞出版、2008年、99頁より引用
もちろん、これは過去のデータですから今後もこのようになるとは限りませんが、参考にはなると思います。
しかし、上記の"株式は長期では上がる可能性が高いこと"を理解したとしても、実際に株式の暴落が起きて資産が半分になったときには、「もう持っていられないから株式をすべて売って投資を終了させよう!」と思ってしまう方も少なくないかもしれません。
では、投資用の資金は、どうやって資産運用を行えばいいのでしょうか?
あなたが、投資資金がどのくらい減っても大丈夫かを考え、その答えに合わせて、債券を資産に組み入れるのが有効です。具体的には、ご自分が耐えられる値下がり率を考え、それに応じて株式・債券の割合を決める―資産内容を、100%株式ではなく、20%債券を入れて80%株式にするとか、40%債券を入れて60%株式にする―ということをおこないます。
債券を入れれば入れるほど、値下がり幅が少なくなります。ただし、リスクが下がりますから、リターンも下がります。
上記の" 投資を始める前にどのくらい下がっても大丈夫か確認すること" をしないまま投資を始めると、耐えられない幅の下落が起きて資産をすべて売却(=投資を終了)してしまう可能性があります。投資内容に、株式を入れすぎてしまう可能性があるからです。
資産を売却して現金にしてしまえば、インフレに負けないために運用する―という目的が達成できなくなってしまいます。
または、ご自分が耐えられるリスクよりも、値下げ幅が大幅に低い資産内容にしてしまう(=債券を入れすぎる)ことで、リターンが低くなりすぎてしまう可能性もあるでしょう。