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投資信託の販売会社とは?

 投資信託を購入するには、まず、「販売会社に口座を開く」必要があります。ただ、投資信託についてよく知らない場合、そもそも販売会社が何か?が分からないかもしれません。では、販売会社とはなんでしょうか?

 以下で、販売会社について解説します。


販売会社の仕事

 まず、販売会社は、運用会社に代わって、投資家に投資信託を売る仕事をします。「販売会社を通じて投資信託を購入する仕組み」になっているため、ひとつの窓口で、さまざまな運用会社が運用する―投資信託を購入することができます。なお、販売会社を通さず、直接、投資家に投資信託を販売する―運用会社もなかにはあります(直販ファンドと呼びます)。

 また、販売会社は、投資家の「投資信託に関するお金を管理する」仕事をします。具体的には、販売会社が、誰がどのファンドを何口持っているか?をしっかり管理します。また、購入や換金、分配金の受け取りなどで、お金のやりとりが発生した時に処理をおこないます。

 そして、販売会社は、目論見書と、運用報告書とを投資家に提供する仕事をします。目論見書とは、購入しようとしている投資信託が、「何に投資し、どのくらいの手数料がかかるのか」などを説明する書類です。この書類は、投資信託を購入する時に、必ず目を通さなければなりません。投資信託をインターネットで購入する際にも、「目論見書を確認しました」というような項目に、チェックを入れなければ購入できないようになっています。

 一方、運用報告書とは、「運用状況」や、「実際にかかったコスト」、「ファンドが保有している資産」などが書かれた書類です。運用報告書が1年に何回発行されるかは、決算を年に何回するかによって変わります。例えば、決算を1年に1回する場合、年に1回だけ発行されます。そして、決算を年に1回より多くする(半年ごとに決算、毎月決算など)場合、半年に1回発行されます。


販売会社の種類

 販売会社には、証券会社・銀行・ゆうちょ銀行・保険会社などがあります。なお、上記の証券会社・銀行には、「主に店舗で取引する会社」と、「主にインターネットで取引する会社」があります。「主にインターネットで取引する会社」(特に大手ネット証券)は、手数料が安い投資信託を取り扱っていることが多く、以下で説明するような―悪質な行為をすることが少ないので、おすすめです。

 これらの販売会社のなかには、手数料の高い投資信託を、「おすすめ投信」と称して積極的に売ろうとしてくるところがあるので注意が必要です。なぜなら、手数料が高い投資信託を売れば、投資額の最大3%の販売手数料(後で説明)を、販売会社が手に入れることができるからです。また、手数料が高い投資信託を売れば、投資家がその投資信託を保有している間ずっと、投資額の最大1.5%程度の信託報酬(後で解説)を、販売会社が"毎年"手に入れることができるからです。このような、とんでもない投資信託を買ってしまわないためには、投資家が、投資信託の手数料についてよく知っておかなければなりません。投資信託の手数料については、このページの「販売会社に支払う手数料」の項目で詳しく説明しますので、読んでみてください。

 また、販売会社のなかには、投資信託を次々に乗り換えさせ、投資家から販売手数料を何回も取ろうとするところがあるので注意が必要です。なお、このように「投資信託の乗り換えを何回も勧めること」を、回転売買といいます。回転売買で問題なのは、名前の通った販売会社(特に銀行)がするからです。有名な銀行の言うことだから間違いないだろう―という「信用」を悪用して、回転売買をさせるわけです。


販売会社に支払う手数料

<販売手数料>

 投資信託を購入する際には、販売手数料を支払う必要があります。この販売手数料ですが、何%とるかは販売会社が決めるため、同じ投資信託でも、販売会社によって異なる場合があります(購入額の0~3%程度)。また、「同じ投資信託を、同じ販売会社で購入する」場合でも、販売手数料が変わる場合もあります。具体的には、以下です。

  • 同じ販売会社でも、「店頭で買うか」、「インターネットで買うか」で、販売手数料が変わる場合があります(基本的に、店頭で買うより、インターネットで買った方が、販売手数料が安くなります)。
  • 同じ販売会社でも、一度に購入する額で、販売手数料が変わる場合があります(一度に多くの額を買った方が、販売手数料が安くなります)。

 なお、「販売手数料は、販売会社が決める」と書きましたが、いくらでもいいわけではありません。販売手数料は、運用会社が決めた上限より、高い額を提示できません。そのため、運用会社が販売手数料を取ることを認めていなければ(=販売手数料の上限が0%)、販売手数料がかかることはありません。

図:販売会社によって手数料が異なる
販売会社によって手数料が異なる

 販売会社が販売手数料を徴収する名目は、投資信託の宣伝(パンフレット作成など)と、投資信託の説明に対する費用です。投資信託の宣伝・説明に人手がかかるのは分かりますが、さすがに3%は高すぎだと思います。また、同じ投資信託を毎月積み立てる場合、特に説明などは受けないにもかかわらず、購入するたびに販売手数料がとられてしまいます。この点から言っても、販売手数料がかかる投資信託は購入すべきではありません。

 販売手数料がかかる投資信託は、投資するごとに投資資金が減ってしまうので、望ましくありません。例えば、販売手数料が3%かかる投資信託を100万円購入する場合、投資元本がいきなり3万円(=100万円×3%)減ってしまいます。せっかく100万円投資しようとしたのに、97万円しか投資することができないわけです。

 現在は、販売手数料がかからないものでも、十分に良い投資信託があります。むしろ、販売手数料がかからないものの方が、良いものが多いくらいです。そのため、投資信託を購入する際は、販売手数料がかからないものを選びましょう。

<信託報酬>

 投資信託を購入すると、信託報酬を、「運用会社」・「販売会社」・「信託銀行」に支払うことになります(購入額の0.2~1.5%程度)。各会社が受け取る―信託報酬の割合は、目論見書や、運用会社の銘柄の詳細ページに記載されています。上記から分かるように、販売会社も、信託報酬の一部を受け取ります。

 投資信託を実際に運用するのは運用会社ですから、運用会社がダントツで多くの信託報酬を受け取るだろう―と思われるかもしれませんが、実際は、販売会社と同じ(もしくは、販売会社の方が多い)であることがほとんどです。これは、日本においては、「販売会社の方が、運用会社よりも立場が強い」からです。

 販売会社が信託報酬の一部を受け取る名目は、投資信託に関わる事務(投資家の口座管理、分配金の振込等)に対する報酬です。「事務に対する報酬として、運用会社と同じ程度の報酬を受け取ること」について、報酬が高すぎるのかどうか私には判断できませんが、著名な経済評論家である山崎元さんは、書籍の中で、"もっと少なくていい"と判断されています。

販売会社である証券会社や銀行は、顧客の投資信託の残高が維持されている限り、それなりに大きな手数料を自動的に受け取ることができます。実質的な仕事の内容からみてこの部分はもっと薄くてもいいのではないかと思います(略)

山崎元・水瀬ケンイチ 『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』 朝日新聞出版、2010年、65頁より引用


販売会社選びの順序

 販売会社を選ぶには、まず、購入する投資信託を決めます。なぜ、購入する投資信託から決めるのかというと、販売しているファンドが販売会社ごとに異なるからです。そのため、先に販売会社から決めてしまうと、いざ投資信託を買おうとしたときに、「欲しい投資信託を取り扱っていなかった!」ということになる可能性があります。

 購入する投資信託は、信託報酬が安いインデックスファンドがおすすめです。2016年3月現在のおすすめのファンドは、以下です。

  • 国内株式に投資するファンドは、日本の上場株式に広く投資する「ニッセイTOPIXインデックスファンド」が、信託報酬が最も安く(0.29%(税抜))おすすめです。
  • 外国株式に投資するファンドは、世界中の先進国株式(日本を除く)に広く投資する「たわらノーロード 先進国株式」が、信託報酬が最も安く(0.225%(税抜))おすすめです。
  • 国内債券に投資するファンドは、日本の公社債に広く投資する「たわらノーロード 国内債券」が、信託報酬が最も安く(0.15%(税抜))おすすめです。
これらのファンドは、販売手数料をとることを認めていませんので、どの販売会社で購入しても、販売手数料はかかりません。

 購入するファンドが決まったら、そのファンドの運用会社の銘柄詳細ページで、購入できる販売会社を調べましょう。銘柄の詳細ページは、ファンド名でgoogle検索すれば、だいたい一番上に表示されます。そのページの、「取り扱い販売会社」というようなリンクをクリックすれば、販売会社一覧が確認できます。

 購入できる販売会社が分かったら、それぞれの販売会社のサービスを確認し、購入する販売会社を決めます。確認するポイントは、以下の2点です。

  • 販売手数料がかからないこと
  • 積み立てサービスが充実していること

 まず、販売手数料を確認します。先ほど解説したように、販売手数料がかからない販売会社を選びましょう。

 次に、積み立てサービスが充実しているかを確認しましょう。チェック項目は、以下です。

1. 積み立てたいファンドが積み立て対象か確認する
取り扱っている全ての投資信託が、積立注文の対象になっているわけではありません。買いたい投資信託が、「積立注文の対象になっているか」事前に確認しておきましょう。

2. 最低積立額が1,000円以下か確認する
通常、投資信託は、1万円が最低投資額であることがほとんどです。しかし、積立注文では、最低積立額が100円~1,000円に設定されている販売会社もあります(SBI証券・楽天証券など)。最低積立額が1000円以下であれば、少ない額しか積立投資できない場合でも、複数の銘柄に分散して投資できます。

3. 給与振込口座から引き落としができるか確認する
あなたの給料振込口座から、積立代金が自動引き落としできることは重要です。なぜなら、自動引き落としできれば、一度積立設定をした後は、投資することを意識せずに積立投資が継続できるからです。







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