証券会社が破綻した場合、通常であれば顧客の資産は全額返還されます。証券会社が破綻しても、顧客の資産が全額返還される理由は、(1)顧客資産を安全に保管するためには、顧客資産を証券会社の借り入れの返済に使えないように、"顧客の資産"と"証券会社の資産"とを分けて管理するのが効果的ですが、(2)証券会社は、"顧客の資産"と、"証券会社の資産"とを分別管理*するように義務づけられているからです。
** 可児滋 『金融パーソンのための証券ハンドブック』 株式会社日本評論社、2005年、124頁より引用
ただ、証券会社が破綻したとき、破綻した証券会社が、顧客の資産を全額返還できない可能性もあります。破綻した証券会社が、顧客の資産を全額返還できない可能性がある理由は、証券会社が破綻する前に、顧客の資産を、借り入れの返済に違法に使い込んでしまう可能性があるからです。
そういった"顧客の資産を使い込んだ―証券会社の破綻"に備えて、投資者保護基金があります。では、投資者保護基金とは何でしょうか?
投資者保護基金とは、破綻した証券会社の違法行為(顧客資産の使い込み・分別管理の不徹底など)によって、顧客資産が全額返還できない場合に代わりに補償する機関です。投資者保護基金の補償の内容は、以下です。まず、投資者保護基金によって補償される資産は、投資信託に投資する際に関係あるものだと―ETF(株式)・現金があります。また、投資者保護基金によって補償される限度額は、顧客1人あたり1,000万円です。
図:投資者保護基金の役割