S&P500に投資することで、世界中の株式に分散投資するのとおなじような利回りがえられます。しかし、米国株式だけに集中投資することになるため、利回りのばらつきはおおきくなります。
ただ、S&P500への投資をはじめるなら、具体的に「どのくらいの平均利回りが期待できるのか」は知りたいところです。そこで、ネット上で手に入るデータを元に、エクセルで計算しました。
では、S&P500に20年・30年投資した場合、利回りはどのくらいなのでしょうか?
S&P500に20年・30年投資した場合の、1年あたりの利回りは約8~10%でした。この計算の内容は以下です。
- S&P500の平均利回り(20年・30年投資した場合)
- 計算に使った、S&P500の利回りデータの出所
- S&P500の利回りの計算方法
- 集めた利回りデータから平均利回り・最大利回り・最小利回りを計算
- 計算に使ったエクセルのダウンロード
S&P500の平均利回り(20年・30年投資した場合)
S&P500に20年投資した場合の、1年あたりの利回りは以下です(1988~2023年のデータで計算)。
- 平均リターンは、8.26%
- 最大リターンは、11.37%
- 最小リターンは、5.24%
S&P500に30年投資した場合の、1年あたりの利回りは以下です。(1988~2023年のデータで計算)
- 平均リターンは、10.03%
- 最大リターンは、11.04%
- 最小リターンは、8.98%
S&P500の平均利回りは、20年投資した場合は「約8.3%」、30年投資した場合は「約10.0%」です。ただし、この実績は過去のデータなので、こんごも同じ結果になるとは限りません。
計算に使った、S&P500の利回りデータの出所
S&P500の利回りの計算には、さまざまなインデックスのデータを公開してくれている、「myINDEX」というサイトのデータを使わせていただきました。
使用したデータがある場所は、以下です。
1.まず、「myINDEX」の「S&P 500 (配当込み) (円)」のページにアクセスします。
なお、「S&P 500 (配当込み) (円)」は、米国の株式指標を、円換算したものです。
S&P500は、「S&P500種株価指数」とも呼ばれ、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表する、アメリカ合衆国の証券取引所に上場している代表的な500銘柄で構成される株価指数をいいます。
iFinanceより引用
2.アクセスしたページの下の方にある、「グラフ」という項目の「年次リターン」タブをクリックします。
3.グラフになっていますが、マウスカーソルをあわせると数値がでます。
これが各年のS&P500の利回りです。画像では1961年の利回りが28.1%だとわかります。この利回りのデータを使って、S&P500に20年・30年投資した場合の、利回りを計算します。
なお、S&P500の利回りデータは1961年のものからありますが、あまりに古いデータだと現在の数値とかけ離れて過ぎています。そのため、今回は、1988年以降の過去36年分だけつかって計算しました。
S&P500の利回りの計算方法
S&P500を20年運用した場合の利回りは、先ほどの利回りのデータを20年分掛けあわせて計算します。
たとえば、1988~2007年の20年利回りを計算する場合、各年の利回りを順番にかけていきます。
- まず、1988年の利回りは20.7%でしたので、「1×(1+20.7%)」で1.207。
- つぎに、1989年の利回りは51.2%でしたので、「1.207×(1+51.2%)」で1.824984。
- そして、1990年の利回りは-8.5%でしたので、「1.824984×(1-8.5%)」で1.66986036というように計算します。
このように2007年までの20年分を計算すると、8.61192936という計算結果になります。つまり、1988年に1円をS&P500に投資したら、2007年には約8.6円になったということです。
この「20年運用したときの利回り」を、1988~2007年から、2004~2023年までの17回分計算します。
- 1988~2007年のS&P500の利回りは、8.61192936。
- 1989~2008年のS&P500の利回りは、3.638843392。
- ~省略~
- 2004~2023年のS&P500の利回りは、8.398004916。
これで、1988年から2004年までに投資をはじめて、20年運用した場合の利回りデータ(17回分)が手に入りました。
なお、S&P500を30年運用した場合の利回りは、同じように30年分の利回りを掛けあわせて計算します。
集めた利回りデータから平均利回り・最大利回り・最小利回りを計算
集めた利回りのデータから、平均利回り・最大利回り・最小利回りを計算します。
20年運用した場合の、平均利回り・最大利回り・最小利回りは以下です。
- 平均利回りは、4.89395889(年利に変換すると、8.26%)。
- 最大利回りは、8.61192936(年利に変換すると、11.37%)。
- 最小利回りは、2.774897923(年利に変換すると、5.24%)。
1988~2023年の間にS&P500に20年投資した場合、平均で8.26%の利回りが得られ、最高で11.37%・最低でも5.24%の利回りが得られました。
30年運用した場合の、平均利回り・最大利回り・最小利回りは以下です
- 平均利回りは、17.61034567(年利に変換すると、10.03%)。
- 最大利回りは、23.11498264(年利に変換すると、11.04%)。
- 最小利回りは、13.1862283(年利に変換すると、8.98%)。
1988~2023年の間にS&P500に30年投資した場合、平均で10.03%の利回りが得られ、最高で11.04%・最低でも8.98%の利回りが得られました。30年運用すると運用結果のばらつきが少なくなり、最大と最小の年利が平均にかなり近づきます。
これらを元にグラフにしたのが、下の図解です。
ちなみに、20年・30年の利回りのデータを、年利に変換する計算は以下です。
・20年利回りを変換する計算
→20年利回りの数値^(1/20)-1
・30年利回りを変換する計算
→30年利回りの数値^(1/30)-1
たとえば、1988~2007年の20年利回り:8.61192936を年利に変換するには、以下のように計算します。
→8.61192936^(1/20)-1=11.37%
計算に使ったエクセルのダウンロード
計算に使ったエクセルをダウンロードできるようにしておきますので、くわしい計算内容がみたいかたはダウンロードしてみてください。