「リバランスとは」で、"ベストのリバランスの方法は、積立額を自分で調整し、積立て時にリバランスをおこなう方法だ"―と解説しました。積立て時にリバランスをおこなう方法がベストだといえる理由は、リバランスに必要な―ファンドの売買が必要なくなる(または、少なくなる)ため、"リバランス実行時のコスト"がかからない(または、少なくなる)からです。
リバランス実行時のコストとは、以下です。(1)まず、ファンド売買の際の手数料―(ア)ファンドを購入した場合、販売手数料がかかります。(イ)ファンドを売却した場合、信託財産留保額がかかります。なお、これらの"ファンド売買の際のコスト"が必要ないファンドもあります。(2)次に、ファンドを売却した際の税金―ファンドを売却した場合、利益が出ていれば、税金がかかります(税率:20.315%-2037年12月末まで)。
ただ、毎月買い付け注文を出すのが面倒な人は、毎月の投資額を固定した―自動積立てにするかもしれません。
しかし、この積立て方法の場合、定期的(1年に1度程度)にリバランスをおこなう必要があります。*定期的にリバランスをおこなう必要がある理由は、(1)自動積立は、積立額が固定であるため、積立て時にリバランスができませんが、(2)積立て時にリバランスができない場合、時間がたつと資産の比率のバランスが崩れるからです。
ただ、運用開始から1年がたったとしても、あまり資産の比率のバランスが崩れていなければ、リバランスをする必要はありません。リバランスをする必要がない理由は、リバランスには、先ほど解説した―"リバランス実行時のコスト"がかかるからです。
* なぜ、リバランスは、1年に1度がいいのかを解説したページはこちら→リバランスの適正な実行頻度へ
では、どの程度バランスが崩れたらリバランスするべきなのでしょうか?
±5%バランスが崩れたら実行しましょう。±5%に設定する理由は、"±5%のリバランスの許容幅は、148兆円(2005年3月時点)の運用資金を誇る―年金の公的運用機関**が、運用に使用している数値だから"―です(正しくは、±5~8%。以下の表を参照)。
** 正式名称は、年金積立金管理運用独立行政法人
図:年金の公的運用機関のリバランス許容幅***
資産名 | 許容幅 |
国内債券 | ±8% |
国内株式 | ±6% |
外国債券 | ±5% |
外国株式 | ±5% |
図:資産の比率の乖離が±5%より少なければリバランスの必要はない
- わき道にそれますが、カン・チュンドさんの本****で、自動積立ての便利さを受けつつ、リバランスの実効性を確保する―リバランス手法が提案されていました。それは、(1)月々の積立は、自動積立てに設定し、(2)ボーナスの1回分(夏か冬のどちらか1回)は、自動積立てにせず、リバランスにあてる―といった方法です。
参考:北村慶 『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント』 PHP研究所、2006年、229頁
楽天証券には、投資信託を毎月自動で取り崩してくれるサービスがあります。
このサービスをつかうと、ほったらかしで、遊んでいるお金の年4.8%(または年3.6%)が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
楽天証券は、楽天市場・楽天モバイル・楽天銀行で知られる、楽天グループに属する証券会社です。
楽天証券の総合口座数は864万口座、預り資産は、18.1兆円を超えています(2022年12月末時点)。
また、楽天証券で投資信託を保有、または、積み立ての設定をしている人は、274万人を超えています。
実際に、楽天証券の「投資信託の自動取り崩しサービス」をつかった履歴をごらんください。
下のように、振込日(1~28日の中で好きな日を指定できます)の10日に間に合うように、投資信託を自動で売ってくれます。

また、取り崩したお金は、下のように自動で楽天銀行の口座に振り込んでくれています。
なお、取り崩しの際にかかる譲渡益税(利益の約20%)が源泉徴収されています。
※ちなみに、自動で振り込んでもらうには、楽天証券の口座と、楽天銀行の口座と連携させる「マネーブリッジ連携」というかんたんな設定が必要です。

全世界株式に投資すると、年7%のリターンが期待できます。
>> 全世界株式のリターンが7%といえる詳しい理由は、この記事で解説しています。
>> 過去34年のデータから計算した、全世界株式のリターン7%の理由はこちら
全世界株式に投資する方法はいくつかありますが、投資信託を使うのが簡単です。
全世界株式に投資する投資信託のなかでは、手数料が安い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下オール・カントリー)」がおすすめです。
オール・カントリーの手数料は年0.2%程度で、全世界株式に投資する投資信託のなかで、最安クラスです。
なお、全世界株式のリターンは年7%といいましたが、取り崩しは、年7%ではなく「年4.5%」にするのがベストです。
なぜなら、全世界株式のリターン:7%のうち、2.3%はインフレで増えた分だからです。
インフレで増えた2.3%分は、取り崩さずにそのまま運用をつづけて、その運用益で将来のインフレにそなえます。
また、先ほど解説したように、オール・カントリーには、年0.2%程度の手数料がかかるため、その分も取り崩さないでおきます。
したがって、全世界株式のリターン:7%から、インフレ分:2.3%と、オール・カントリーの手数料:0.2%を引いた年4.5%を取り崩すのがベストです。
実は、投資信託を毎月手動で取りくずす場合、かなり手間がかかります。
取りくずしの手間を、全世界株式の投資信託を取りくずす場合を例に解説すると、
1.まず、今月の取りくずし額を計算します。
全世界株式の場合、年4.5%が期待リターンですので、毎月「4.5%の12分の1」まで取りくずしても大丈夫です。
つまり、4.5%÷12ヶ月で、0.375%ですね。
たとえば、現在の資産額が120万円の場合、4,500円(=120万円×0.375%)と計算できます。
2.つぎに、1.で計算した額を売る、売却注文をだします。
証券会社のホームページにログインして、先ほど計算した額だけ、全世界株式の投資信託の売却注文をだします。
3.そして、売却注文が成立した翌日か、翌々日までまって、出金指示をだします。
実は、投資信託は、売却注文が成立しても、その日に出金指示をだせません。
出金指示ができるようになるのは翌日か、翌々日になってからです。
このように1日で注文・出金指示の、両方をすませることができません。
そのため、売却注文をだす日と、出金指示をだす日と、2日にわたってホームページで操作する必要があるのです。
自動取りくずしサービスがないと、毎月、この取りくずし作業をやらなければなりません。
楽天証券の自動取りくずしサービスなら、毎月の取りくずし率を、0.1%以上0.1%単位で設定できます。
ここで設定した取りくずし率の分だけ、毎月自動で投資信託を売却してくれます。
全世界株式(年4.5%のリターン)の投資信託を取りくずす場合、月0.4%(年4.8%)、または月0.3%(年3.6%)に設定すると良いでしょう。
また、取りくずしたお金は、毎月指定した日(1~28日から好きな日を指定できます)に、楽天銀行の口座に振り込んでもらえます。
なお、設定した日に間に合うように、投資信託を売却してくれため、お金が必要な日よりまえに振込日を指定する必要はありません。
そのため、楽天証券を使えば、手間をかけずに、遊んでいるお金の年4.5%が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
1.楽天証券の口座を開設したら、全世界株式に投資する投資信託(オール・カントリーがおすすめ)を買って、その投資信託を、月0.4%(または0.3%)取り崩す設定をします。
2.楽天証券の口座と、楽天銀行の口座とを連携させる「マネーブリッジ連携」という設定をします。
この2つを最初にいちど設定するだけでおわりです。
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楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスを使うことで、遊んでいるお金から収益が上がります。
また、はじめるのもかんたんで、全世界株式の投資信託を買って、月に取りくずすパーセント(0.4%か0.3%)を決めるだけです。
楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスがなければ、毎月手間のかかる取り崩しを自分でしなければなりません。
また、銀行預金ではお金はほとんど増えませんので、楽天証券での投資信託自動取り崩しサービスをおすすめします。
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