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投資信託をどう取り崩したらいいかわからない方のために徹底解説

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 投資信託は、「将来のために積み立てて、必要なときがきたら取り崩す」ものです。

 ただ、積み立て方はわかるけれど、どう取り崩せばいいかわからない、という方もおられるとおもいます。では、どうやって取り崩せばいいのでしょうか?

 そこで、投資信託の取り崩しのことが1つの記事ですべてわかるように、記事をつくりました。


投資信託の取り崩し方法

 投資信託の代表的な取り崩しの方法には、毎年同じ額を取り崩す:「定額取り崩し」と、毎年資産を同じ割合で取り崩す:「定率取り崩し」とがあります。

 まず、定額取り崩しから解説します。定額取り崩しは、最初にきめた額を、ずっと取り崩しつづける取り崩し方法です。

 定額取り崩しの例として、ここでは、5,000万円を運用している場合を考えます。定額取り崩しは、最初に「年200万円ずつ取り崩す」と決めた場合、ずっと年200万円を取り崩しつづけます。

 ただ、投資信託は相場によって、評価額が変わってしまいます。では、相場の変動によって、運用資金の評価額が変わってしまったら、取り崩し額はどうなるのでしょうか?

 定額取り崩しは、相場がどうなっても同じ額(今回の例では年200万円)を取り崩します。取り崩し額が一定であるため、定額取り崩しは、相場に生活が左右されないという利点があります。

 さて、投資信託の定額取り崩しは、運用資金を「最初に決めた金額分取り崩しつづける方法」だとわかりました。では、もうひとつの、投資信託の定率取り崩しとは、どういった取り崩し方法なのでしょうか?


投資信託の定率での取り崩し

 定率取り崩しは、運用資金を最初に決めた割合分、ずっと取り崩しつづける取り崩し方法です。先ほどの定額取り崩しと同じく、5,000万円を運用している場合を例にあげて解説します。

 たとえば、最初に年4%で取り崩すと決めた場合、取り崩すときに5,000万円の評価額であれば、200万円(=5,000万円×4%)取り崩します。

 ただ、翌年に取り崩すときは、5,000万円であるとはかぎりません。なぜなら、取り崩さなかった運用資金は投資信託に投資しているため、価格が毎日変わるからです。

 では、運用資金の評価額が変わった場合、いくら取り崩せばいいのでしょうか?

 運用資金の評価額に応じて、変動させます。具体的には、取り崩すときの評価額に、最初に決めた割合(今回の例では4%)をかけて計算します。たとえば、評価額が6,000万円になっていたら、240万円(=6,000万円×4%)取り崩すという具合です。

 このように、定率取り崩しとは、運用資金を「最初に決めた割合」で取り崩しつづける方法です。これまで、「定額取り崩し」と、「定率取り崩し」とを解説しましたが、どちらが取り崩し方法としてすぐれているのでしょうか?


資産を枯渇させないために、定率での取り崩しがおすすめ

 投資信託の定率での取り崩しと、投資信託の定額での取り崩しとを解説しました。両者の違いは、積立額の評価額が変かわったときに、取り崩し額を変えるかどうかでした。

 「定率での取り崩し」は、運用資金の評価額が変われば、取り崩し額も変えます。一方、「定額での取り崩し」は、運用資産の評価額が変わっても、取り崩し額を変えません。

 ただ、投資信託の取り崩しでは、いくら取り崩すかよりも、いかに運用資金を枯渇させないかの方が重要です。運用資金を枯渇させないことの方が重要な理由は、取り崩しの開始は一般的に退職後であるため、収入が少なくなっていることが多いからです。

 収入が少ない状態で運用資金が枯渇してしまうと、生活に大きな影響がでてしまいます。では、積立額を枯渇させないようにするにはどうすればいいのでしょうか?

 定率での取り崩しをしましょう。定率での取り崩しをすると、積立額の枯渇を防ぐことができる理由は、「相場に応じて取り崩し額を変えることで、積立額を維持できるから」です。具体的には、以下です。

(1)積立額の評価額が下がった場合、定率での取り崩しは、評価額に応じて、取り崩し額を少なくします。そのため、積立額の維持につながります。

(2)積立額の評価額が下がった場合、定額での取り崩しは、評価額にかかわらず、当初の額を取り崩します。そのため、積立額の減少につながります。

 投資信託は、定率での取り崩しが良いことがおわかりいただけたでしょうか。さて、これまで取り崩しは年に1回という前提で解説しましたが、毎月取り崩してもいいはずです。取り崩しは、年1回と、毎月とどちらが望ましいのでしょうか?


取り崩しの頻度は、年1回より毎月がいい

 これままで、取り崩し方法は、定率での取り崩しが良いと解説しました。ここまで、取り崩しは、「年に1回」としていました。

 ただ、年に1回の取り崩しでは、取り崩し額が、相場の影響を大きく受けてしまいます。

 取り崩しを年に1回しかおこなわない場合に、相場の影響を大きく受けてしまう理由は、(1)取り崩しを年に1回しかおこなわない場合、取り崩しを一年分まとめておこなうことになりますが、(2)取り崩しを一年分まとめておこなうと、その取り崩しをおこなった時の―相場の影響を1年通して受けることになるからです。

 したがって、相場の影響を軽減するために、取り崩す期間は分散した方が良いです。では、投資信託の取り崩しは、どの程度の頻度でおこなえばいいのでしょうか?

 毎月がベストですが、面倒な場合は、半年に1回でも良いでしょう(取り崩し額を「月額」、もしくは「6ヶ月分の額」で計算する)。

図:投資信託の取り崩し頻度による―相場の影響
投資信託の取り崩し頻度による―相場の影響

 ここまでで、投資信託は年に1回まとめて取り崩すよりも、毎月取り崩すほうが望ましいとおわかりいただけたと思います。では、毎月どのくらいの割合で取り崩せばいいのでしょうか?


投資信託は、毎月、資産額の0.4%を取り崩すのがおすすめ

 当サイトでは、投資信託の取り崩しは月1回、運用資産の評価額の0.4%を取り崩すことをおすすめしています。ちなみに、投資資金は、すべて全世界株式ファンド(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))に投資します。

 ただ、全世界株式の期待リターンは、7%です(なぜ全世界株式の期待リターンが、7%だと言えるのか?については、後ほど解説します)。

 期待リターンが7%なのであれば、毎月1日に、0.58%(≒7%÷12ヶ月)を取り崩してもよさそうです。では、なぜ、月に0.4%の取り崩しがいいのでしょうか?

 資産額の0.4%の取り崩しがおすすめの理由は、月に0.4%の取り崩しであれば、計算上は、元本をへらさずにずっと取り崩すことができるからです。元本をへらさずに取り崩せるのは、全世界株式の期待リターンが、4.8%になるからです。

 期待リターン:4.8%は、年金を運用している公的機関(=年金積立金管理運用独立行政法人)の資料をもとに計算しました。計算内容は、以下です。

 まず、全世界株式に投資すると、約年7.1088%*1のリターンが期待できます。年7.1088%という数字は、わたしたちの年金を運用している、年金積立金管理運用独立行政法人の資料(PDFファイル)をつかって計算しました。

*1 全世界株式の割合を、日本株式:5.7%・外国株式:94.3%で計算。
計算内容:5.6×5.7%+7.2×94.3%=7.1088%

全世界株式のリターン:年7%
※年金積立金管理運用独立行政法人の資料より引用(赤枠は管理人が追記)

 ただし、この7.1088%には、インフレ分2.3%がふくまれていますので、インフレ分をのぞいた実質的なリターンは、4.8088%(=7.1088%-2.3%)です。

インフレ分をのぞいた実質的なリターン
※年金積立金管理運用独立行政法人の資料より引用(赤枠は管理人が追記)

 さらに、4.8088%から、投資信託の運用にかかる手数料:信託報酬0.05775%を引いた残りが約4.8%(≒4.8088%-0.05775%)になります。

 ちなみに、この信託報酬:0.05775%は、全世界株式に投資するインデックスファンド(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))の信託報酬です(2024年9月現在)。

eMAXIS Slim オール・カントリーの信託報酬
※eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の目論見書より引用

 つまり、全世界株式で運用しているお金は、「インフレ分」と「信託報酬分」をのぞいても、年に約4.8%ふえていくことになります。

 そのため、月0.4%(=年4.8%)の取り崩しなら、計算上は元本をへらさずにずっと取り崩せます。

※これはあくまで20年を超える長期間で見たときの話です。1年などの短期間であれば、暴落時には簡単に元本割れします。

 さて、全世界株式に投資して、月に0.4%の取り崩しをするのであれば、計算上元本をへらさずに取り崩すことができると解説しました。

 次は、実際に、月に0.4%の取り崩しを実践する場合を考えてみましょう。

 「月に0.4%を取り崩す」というのは、毎月わすれずに証券会社にログインして、評価額の0.4%分がいくらか計算して、うり注文をだすということです。考えてみただけで、とても面倒そうです。

 この「面倒な作業が必要」という問題をどうやって解決すればいいでしょうか。


老後でも簡単にできる、投資信託の取り崩し方法

 全世界株式に投資して、月に0.4%ずつ取り崩すと、元本をへらさずに取り崩すことができると解説しました。

 ただ、投資信託の取り崩しをおこなうには、毎月の取り崩し日を覚えていなければならず、さらに、注文を出すためにパソコンを操作する必要があります。

 老後は、これらの作業(取り崩し日をおぼえておくこと・売り注文をだすこと)が負担になるかもしれません。また、思考能力がおとろえた老後の自分は、作業自体を忘れるかもしれません。

 人はおとろえます。いつまでも今とおなじ判断力は維持できません。そのため、80代になっても、問題なく続けられる方法にしなければならないのです。

 では、どうすれば、老後で弱っても、取り崩しが簡単にできるでしょうか。

 老後に頭や労力を使わなくても良いように、取り崩しのしくみを作っておきましょう。具体的には以下です。


定率売却サービスがある証券会社をつかう

 労力を使わなくても取り崩しがつづけられるように、「定率売却サービス」がある証券会社を使うのがおすすめです。

 定率売却サービスとは、「最初に決めた割合」で、毎月自動で投資信託をうってくれるサービスです。

 たとえば、最初に「毎月10日に0.4%うる」と設定すると、毎月10日に0.4%うってくれます。つまり、定率売却サービスがあれば、毎月うり注文をだす労力がいらなくなるのです。

 定率売却サービスは楽天証券にありますが、楽天証券の場合、0.1%単位で売却率をきめられます。いま定率売却サービスがない証券会社で積み立てている場合は、投資信託を楽天証券に移管してもいいかもしれません。

 なお、投資信託の移管ができるのは、「移管先の証券会社が取りあつかっているものだけ」です。たとえば、楽天証券に移管したい場合、今の証券会社で買った投資信託は、楽天証券でも取りあつかっているものしか移管できないので注意が必要です。


証券会社の口座のお金を、ATMおろせる証券会社をつかう

 自動取り崩しサービスで、「取り崩し」は自動化できました。

 ただ、一般的に、取り崩したお金は証券口座に入金されます(楽天証券も、取り崩したお金は証券口座に入金されます)。

 労力を使わなくても取り崩しがつづけられるように、取り崩したお金を、ATMでおろせるようにしたいところです。取り崩したお金をATMでおろすには、楽天証券と、楽天銀行との2つの口座を持っていればできます。

 楽天証券・楽天銀行の口座を連携させるサービス:マネーブリッジ(無料)&自動入出金(スイープ)(無料)を使うと、楽天証券の口座のお金が、自動で楽天銀行に振り込まれます。

 楽天銀行に振り込まれたお金は、楽天銀行と提携しているATM(コンビニ・イオン銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行・ゆうちょ銀行のATM)で出金できます。

 なお、楽天銀行には、最低でも現金を10万円は預けておかなければなりません。なぜなら、最低10万円を入れておかないと、ATMの利用(入金・出金)に手数料(=220~275円)がかかるからです。

 とりあえず10万円だけでも入れておけば、月1回のATMの利用が無料になります。なお、「ATMの利用を無料」にするには、ハッピープログラムというサービス(無料)に申し込むことも必要です。

 老後でも簡単に取り崩しを実践するには、それに適したサービスがある証券会社を選ぶことが大切だと解説しました。

 ただ、これまで「取り崩しを開始するのは、老後である」という前提でお話ししましたが、別に老後まで投資信託を取り崩してはいけないという決まりはありません。ご自身に必要な金額や、ご都合にあわせて、取り崩しを開始する時期を考えてみましょう。


投資信託の取り崩しを始めるのは老後でなくてもよい

 投資信託の取り崩しといえば、年金に追加するためにおこなうイメージが強いかもしれません。公的年金だけでは足りない分を補うイメージです。

 ただ、年金に追加するために毎月数万円を取り崩そうとすると、投資信託の取り崩し開始までに貯めなくてはならないお金も大きくなります。

 貯めなければならないお金が大きすぎると感じる場合、年金への追加にこだわらず、使用目的を自由にきめるのもひとつの方法です。


投資信託の取り崩しと言えば、年金に追加するためにおこなうイメージが強い

 投資信託の取り崩しは、定年までお金を積み立てて、定年後に取り崩していくイメージが強いかもしれません。たとえば、60歳までに5,000万円貯めて、毎月20万円ずつ取り崩すといった具合です。

 このようなイメージは、公的年金だけではじゅうぶんでない、と考える方が多いからでしょうか。じゅうぶんでない年金を、自分で補うわけです。

 そのため、給与収入がなくなる老後にそなえて、積み立てておこうと考えるのでしょう。


年金に追加することにこだわると目標額が大金になる

 年金に追加するために、毎月数万円取り崩せる額を用意しようとすると、大きな額が必要になります。

 たとえば、毎月10万円(年120万円)取り崩したい場合、投資信託の取り崩し開始までに、2,500万円が必要になります(期待リターン:4.8%で計算)。計算式は、「120万円÷4.8%=2,500万円」です。

 大きな額を用意するには、毎月の積立額もたくさん必要です。たとえば、2,500万円を用意するには、期待リターン:7%で20年運用する場合でも、月5万円の積み立てが必要になります*2

 毎月の積立額が高額になりすぎると、積立開始自体をあきらめてしまう可能性もあります。そこで、発想の転換をして、低めに目標を設定してみると良いのではないでしょうか。

 たとえば、年に1、2回の帰省や旅行の資金を、取り崩しで用意することを目標にしてもよいかもしれません。

*2 積み立て条件(リターン・運用年数・投資月額・初期投資額)を下の欄に入力すれば、積立結果が計算されるプログラムを作りました。


ここに計算結果が出力されます。


使用目的を自由にきめて、投資計画をたてよう

 投資信託の取り崩しは、年金に追加することにこだわらなくても構いません。取り崩しは、定年後でなくてもはじめられるのです。30歳から取り崩しを開始してもかまいませんし、40歳からでもかまいません。

 また、年に1回の取り崩しでよければ、それほど大きな積立額は必要ありません。例えば、年に20万円の取り崩しでよければ、積立金は約417万円でたります(期待リターン:4.8%で計算)。計算式は、「20万円÷4.8%=416.6万円」です。

 必要な額は人それぞれなので、老後のために必要な額を用意しなければならない、という考えにしばられる必要はありません。必要な額が少なくなれば、積み立てもおこないやすくなるでしょう。

 これまで解説してきたように、取り崩しを開始するのは、老後でなくても構いません。生活費につかうために、投資信託の取り崩しをするのもいいでしょう。

 つぎは、実際の過去のデータ(1988年~2023年のデータ)を使って、もし過去に取り崩しをしていたらどうなっていたか、シミュレーションしてみましょう。


全世界株式の定率取り崩しシミュレーション(取り崩し率・開始資産額・開始する年の変更に対応)

 先ほど、取り崩しを開始するのは老後でなくても構わないと解説しました。老後にそなえる目的でなければ、大金を用意する必要もありません。

 大金でなくてもできるならば、手元のお金を投資して、取り崩し運用をはじめてみたい方もおられるかもしれません。

 ただ、実際にはじめる前に、過去に取り崩しをしていたらどうなっていたかを知りたいところです。

 そこで、「毎年の取り崩し率」・「取り崩し開始時の資産額」・「取り崩しを開始する年」を下の欄に入力すれば、過去データをつかった定率取り崩しシミュレーションができるプログラムを作ってみました。

 なお、以下の計算結果は、全世界株式に投資をした場合のものになります。

(取り崩しを開始する年)

ここに計算結果が出力されます。
※このツールに使っている全世界株式のリターンは、さまざまなインデックスを紹介されているmyINDEX様のデータを使わせていただいています。

 過去のデータをつかって、好きな条件で取り崩しのシミュレーションできるプログラムを公開しました。

 つぎに、このプログラムをつかって、一番わるかった年に「どのくらい取り崩し額がへり、何年で元に戻ったか」を知っておきましょう。こうすることで、運用をはじめればなんども経験することになる、「暴落」に対する心構えができるのでおすすめです。


5,000万円で取り崩し運用する場合の、最悪のケースのバックテスト結果

 当サイトでは、投資額すべてを全世界株式で運用して、毎月1日に資産額の0.4%取り崩すことをおすすめしています。たとえば、5,000万円を運用する場合、計算上は、毎月20万円(=5,000万円×0.4%)取り崩せます。

 ただ、全世界株式で運用して高リターンをねらう場合、「安定して毎月20万円を取り崩す」というような運用はできません。株式は値動きがおおきいため、暴落がかならずおこるからです。

 たとえば、リーマンショックがおこった2008年に取り崩し運用をはじめた場合、資産額が1年で約半分になりました。資産額が約半分になってしまうと、「資産額×0.4%で計算される、取り崩し額」も約半分にへってしまいます。

 このような暴落がおこると、数年はもとの資産額(5,000万円)にもどりません。

 しかし、過去のデータから、暴落後に、何年でもとの取り崩し額:20万円(=5,000万円×0.4%)にもどったか知っておけば、あらかじめ暴落への心構えができます。では、過去の暴落後に、取り崩し額がへった期間はどのくらいあったのでしょうか?

 過去のバックテストの結果、最悪のケースでは、暴落後に9年間取り崩し額がへった期間がありました。

 なお、以下では、「毎月」のリターンデータ(2008年1月+○%、2008年2月-○%のようなデータ)ではなく、「毎年」のリターンデータ(2008年-52.9%のようなデータ)で計算しています。

 毎月取り崩す想定なので、ほんとうは、全世界株式の月々のリターンデータで計算するのがのぞましいのですが、そのようなデータは持っていないからです。

 5,000万円で取り崩し運用をはじめるときの、過去データを用いた暴落時のバックテスト(暴落率が大きい順)は、以下です。


2008年(-52.9%の暴落)にセミリタイアをはじめた場合、9年間取り崩し額がへった

 5,000万円で取り崩し運用をはじめたときの、暴落率が大きい順にバックテスト結果を3年分挙げました。

 まずは、1988年~2023年のあいだで、一番暴落率がおおきかった2008年(-52.9%)に取り崩し運用をはじめると、どうなったか見てみましょう。では、どのくらい取り崩し額がへった期間があったのでしょうか?

 2008年に取り崩し運用をはじめると、9年間取り崩し額がへりました。2008年に取り崩し運用をはじめたときの、取り崩しのバックテストは、以下です。

ア.まず、2008年の1月に5,000万円の4.8%(=0.4%×12ヶ月)(240万円)を取り崩して、取り崩し運用をはじめました。

2008年1月の取り崩し額

イ.その年に-52.9%の暴落がおこり、2008年末に、資産額が2,242万円まで下がりました。

2008年の年末の資産額

ウ.その後は、2017年の年末までもとの5,000万円にもどらなかったため、9年間取り崩し額がへりました。

2008年の暴落後9年間の取り崩し額

エ.2018年1月からは、もとの取り崩し額にもどりました

2018年1月の取り崩し額


2002年(-29.6%の暴落)に取り崩し運用をはじめた場合、4年間取り崩し額がへった

 1988年~2023年のあいだで、一番おおきな暴落率(-52.9%)だった2008年に取り崩し運用をはじめた場合、9年間も取り崩し額がへりました。

 ただ、2008年の暴落は、100年に一度と言われるような大暴落です。もうすこし暴落率が少なければ、9年も取り崩し額がへってしまうことはないかもしれません。

 では、同じ期間で2番目に暴落率がおおきかった、2002年(-29.6%)の場合は、どのくらいの期間取り崩し額がへったのでしょうか?

 2002年に取り崩し運用をはじめた場合、4年間取り崩し額がへりました。2002年に取り崩し運用をはじめたときの、取り崩しのバックテストは、以下です。

ア.まず、2002年の1月に5,000万円の4.8%(240万円)を取り崩して、取り崩し運用をはじめました。

2002年1月の取り崩し額

イ.その年に-29.6%の暴落がおこり、2002年末に、資産額が3,351万円まで下がりました。

2002年の年末の資産額

ウ.その後は、2006年の年末までもとの5,000万円にもどらなかったため、4年間取り崩し額がへりました。

2002年の暴落後4年間の取り崩し額

エ.2007年1月からは、もとの取り崩し額にもどりました。

2007年1月の取り崩し額


1990年(-21.1%の暴落)に取り崩し運用をはじめた場合、7年間取り崩し額がへった

 -52.9%の2008年に取り崩し運用をはじめると、取り崩し額がへる年数が9年。-29.6%の2002年に取り崩し運用をはじめると、取り崩し額がへる年数が4年でした。

 暴落率がすくない2002年の方が、取り崩し額がへる年数がすくない結果になりました。そのため、もっと暴落率がすくなければ、取り崩しできない期間は、より短くなりそうな気もします。

 ただ、そうはなりませんでした。では、同じ期間で3番目に暴落率がおおきかった、1990年の暴落率(-21.1%)の場合は、どのくらいの期間取り崩し額がへったのでしょうか?

 1990年に取り崩し運用をはじめた場合、7年間取り崩し額がへりました。1990年に取り崩し運用をはじめたときの、取り崩しのバックテストは、以下です。

ア.まず、1990年の1月に5,000万円の4.8%(240万円)を取り崩して、セミリタイア生活をはじめました。

1990年1月の取り崩し額

イ.その年に-21.1%の暴落がおこり、1990年末に、資産額が3,756万円まで下がりました。

1990年の年末の資産額

ウ.その後は、1997年の年末までもとの5,000万円にもどらなかったため、7年間取り崩し額がへりました。

1990年の暴落後7年間の取り崩し額

エ.1998年1月からは、もとの取り崩し額にもどりました。

1998年1月の取り崩し額








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