期待リターンは、投資する資産ごとに大体決まっており、運用に手間暇をかけたところでリターンは変わりません。年金積立金管理運用独立行政法人(=公的年金の運用機関)によると、株式の期待リターンは5%程度、債券の期待リターンは3%程度だそうです。ですから、運用にはできるだけ手間をかけず、できれば自動化したいところです。
ただ、資産運用にはなにかと手間がかかります。では、どうすれば運用を自動化できるのでしょうか?
バランスファンドに投資すればいいです。バランスファンドで運用を自動化できるのは、運用にかかる手間が無くなるからです。
●バランスファンドは、自動積み立てサービスが使える
●バランスファンドは、リバランスを自動でやってくれる
自動積み立てサービス
バランスファンドに投資することで、運用にかかる手間がなくなり、運用を自動化できます。運用を自動化できるのは、バランスファンドに投資することで運用にかかる手間がなくなるからです。
先ほど解説したように運用には様々な手間がかかりますが、運用にかかる手間の中で最も自動化したいのは、"毎月の積立注文を出すこと"でしょう。毎月、購入注文を忘れないように気をつけておかなければならないのは、結構大きな負担だからです。
バランスファンドに投資することで、この"毎月の積立注文にかかる手間"がなくなります。具体的には、以下です。
まず、株式などを積み立てる場合、自動積み立てサービスが用意されていることがほとんど無いため、積み立ての期間ごと(例:月一回など)に、毎回購入注文を出さなくてはなりません。一方、投資信託(バランスファンド含む)を積み立てる場合、ネット証券であれば自動積み立てサービスが用意されていることがほとんどなので、自動積み立てサービスを使えば、一回設定すればずっと自動で購入注文を出してもらえます。よって、バランスファンドを使えば、積み立てにかかる作業が必要なくなり、運用を自動化できます。
図:自動積み立てサービスで積み立てを自動化
自動リバランス
バランスファンドに投資すれば、積み立てにかかる手間がなくなります。
ただ、なにもバランスファンドだけが、"自動積み立てサービス"を使えるわけではありません。投資信託であれば自動積み立てサービスが使えます。ですから、複数の投資信託を組み合わせて投資する―という場合でも積み立てを自動化できます。
それでもバランスファンドの方が良い理由は、リバランス*を自動でやってもらえるからです。具体的に見ていきましょう。
* リバランスとは、崩れた資産バランスを元に戻すことです。詳しくはこちら→リバランスとは
リバランスは、年一回必ず行わなければなりません**。バランスファンドであれば、この"リバランス"を自動でやってもらえます。そのため、バランスファンドに投資することで、年一回の作業さえ必要なくなり、運用を自動化できます。
** あまり資産のバランスが崩れていなければ実行しなくてもかまいませんが、必ず年一回、資産バランスは確認しなくてはなりません。→リバランスを行う目安はリバランスの許容幅参照
なお、リバランスを年一回やらなければならない理由は、以下です。理由の一つ目は、リスクを一定に保つためです。リスクを一定に保つ必要がある理由は、以下です。(1)投資を始める際は、どの程度リスクを取ることができるかを考えてアセットアロケーション***を決めますが、(2)投資資産は日々値動きするため、アセットアロケーションは当初のものからどんどん変わってしまいます。アセットアロケーションが変わると、リスクも変わってしまうのです。よって、年一回を目安にリバランスを行い、リスクを元に戻さなければなりません。
*** 資産の割合のこと。例えば、国内株式:50%、外国株式:50%など。
理由の二つ目は、リバランスを年一回行うことで収益が上昇する―というデータがあるためです。リバランスによる収益上昇についてはリンク先の記事に書いてありますので参考にしてください。
図:バランスファンドへの投資でリバランスを自動化
楽天証券には、投資信託を毎月自動で取り崩してくれるサービスがあります。
このサービスをつかうと、ほったらかしで、遊んでいるお金の年4.8%(または年3.6%)が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
楽天証券は、楽天市場・楽天モバイル・楽天銀行で知られる、楽天グループに属する証券会社です。
楽天証券の総合口座数は864万口座、預り資産は、18.1兆円を超えています(2022年12月末時点)。
また、楽天証券で投資信託を保有、または、積み立ての設定をしている人は、274万人を超えています。
実際に、楽天証券の「投資信託の自動取り崩しサービス」をつかった履歴をごらんください。
下のように、振込日(1~28日の中で好きな日を指定できます)の10日に間に合うように、投資信託を自動で売ってくれます。

また、取り崩したお金は、下のように自動で楽天銀行の口座に振り込んでくれています。
なお、取り崩しの際にかかる譲渡益税(利益の約20%)が源泉徴収されています。
※ちなみに、自動で振り込んでもらうには、楽天証券の口座と、楽天銀行の口座と連携させる「マネーブリッジ連携」というかんたんな設定が必要です。

全世界株式に投資すると、年7%のリターンが期待できます。
>> 全世界株式のリターンが7%といえる詳しい理由は、この記事で解説しています。
>> 過去34年のデータから計算した、全世界株式のリターン7%の理由はこちら
全世界株式に投資する方法はいくつかありますが、投資信託を使うのが簡単です。
全世界株式に投資する投資信託のなかでは、手数料が安い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下オール・カントリー)」がおすすめです。
オール・カントリーの手数料は年0.2%程度で、全世界株式に投資する投資信託のなかで、最安クラスです。
なお、全世界株式のリターンは年7%といいましたが、取り崩しは、年7%ではなく「年4.5%」にするのがベストです。
なぜなら、全世界株式のリターン:7%のうち、2.3%はインフレで増えた分だからです。
インフレで増えた2.3%分は、取り崩さずにそのまま運用をつづけて、その運用益で将来のインフレにそなえます。
また、先ほど解説したように、オール・カントリーには、年0.2%程度の手数料がかかるため、その分も取り崩さないでおきます。
したがって、全世界株式のリターン:7%から、インフレ分:2.3%と、オール・カントリーの手数料:0.2%を引いた年4.5%を取り崩すのがベストです。
実は、投資信託を毎月手動で取りくずす場合、かなり手間がかかります。
取りくずしの手間を、全世界株式の投資信託を取りくずす場合を例に解説すると、
1.まず、今月の取りくずし額を計算します。
全世界株式の場合、年4.5%が期待リターンですので、毎月「4.5%の12分の1」まで取りくずしても大丈夫です。
つまり、4.5%÷12ヶ月で、0.375%ですね。
たとえば、現在の資産額が120万円の場合、4,500円(=120万円×0.375%)と計算できます。
2.つぎに、1.で計算した額を売る、売却注文をだします。
証券会社のホームページにログインして、先ほど計算した額だけ、全世界株式の投資信託の売却注文をだします。
3.そして、売却注文が成立した翌日か、翌々日までまって、出金指示をだします。
実は、投資信託は、売却注文が成立しても、その日に出金指示をだせません。
出金指示ができるようになるのは翌日か、翌々日になってからです。
このように1日で注文・出金指示の、両方をすませることができません。
そのため、売却注文をだす日と、出金指示をだす日と、2日にわたってホームページで操作する必要があるのです。
自動取りくずしサービスがないと、毎月、この取りくずし作業をやらなければなりません。
楽天証券の自動取りくずしサービスなら、毎月の取りくずし率を、0.1%以上0.1%単位で設定できます。
ここで設定した取りくずし率の分だけ、毎月自動で投資信託を売却してくれます。
全世界株式(年4.5%のリターン)の投資信託を取りくずす場合、月0.4%(年4.8%)、または月0.3%(年3.6%)に設定すると良いでしょう。
また、取りくずしたお金は、毎月指定した日(1~28日から好きな日を指定できます)に、楽天銀行の口座に振り込んでもらえます。
なお、設定した日に間に合うように、投資信託を売却してくれため、お金が必要な日よりまえに振込日を指定する必要はありません。
そのため、楽天証券を使えば、手間をかけずに、遊んでいるお金の年4.5%が、楽天銀行の口座に毎月振り込まれます。
1.楽天証券の口座を開設したら、全世界株式に投資する投資信託(オール・カントリーがおすすめ)を買って、その投資信託を、月0.4%(または0.3%)取り崩す設定をします。
2.楽天証券の口座と、楽天銀行の口座とを連携させる「マネーブリッジ連携」という設定をします。
この2つを最初にいちど設定するだけでおわりです。
・公式ページ
楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスを使うことで、遊んでいるお金から収益が上がります。
また、はじめるのもかんたんで、全世界株式の投資信託を買って、月に取りくずすパーセント(0.4%か0.3%)を決めるだけです。
楽天証券の投資信託自動取り崩しサービスがなければ、毎月手間のかかる取り崩しを自分でしなければなりません。
また、銀行預金ではお金はほとんど増えませんので、楽天証券での投資信託自動取り崩しサービスをおすすめします。
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