"決まった額"を"決まった年数"取り崩したいときに、いくら必要になるか計算したい場合があると思います。例えば、60歳の定年から100歳までの40年間、月15万円ずつ取り崩したいが、その場合にはいくら必要になるのか―といった場合です。当サイトでは、以前、「運用資産の一部が目減りしても構わない場合の―必要積立額計算」で、エクセルのゴールシーク機能を使って、"決まった額"を"決まった年数"取り崩したいときに、必要になる金額を計算する方法を解説しました。ただ、上記の方法は、"はじめに計算のためのエクセルファイルを作らなければならない"ため、少し面倒かもしれません。では、もっと簡単に計算する方法はないのでしょうか?
年金現価係数表を使うと、簡単に"「決まった額」を「決まった年数」取り崩したいときに、必要になる金額"を計算できます。具体的には、以下です。
※ この方法は、最終的にお金が0円になる金額しか計算できません。0円まで取り崩すのではなく、「決まった年数」取り崩したあとに、お金をいくらか残す場合の計算をしたいときは、エクセルのゴールシーク機能を使う方法をおこなってください。
1.年金現価係数表を用意する
年金現価係数表とは、わかりやすくいえば、様々な条件(=リターン・取り崩す年数)で"運用しながら年間1円"を取り崩すために必要な金額をまとめた表です。実際に、年金現価係数表がどういうものか確認してみましょう。下にある「図:年金現価係数表」の、リターン:3.0%・取り崩す年数:5年のところを見てみると、4.57971という数値が見つかります。つまり、はじめに4.57971円あれば、年間1円を5年間取り崩すことができる―ということになります。本当に年間1円を取り崩せるか確認してみましょう。
- (1年運用後)4.57971円×1.03%-1円=3.71710円
- (2年運用後)3.71710円×1.03%-1円=2.82861円
- (3年運用後)2.82861円×1.03%-1円=1.91347円
- (4年運用後)1.91347円×1.03%-1円=0.97088円
- (5年運用後)0.97088円×1.03%-1円=0円
上記のように、はじめに4.57971円あれば、年間1円を5年間取り崩せることがわかりました。
図:年金現価係数表
3.0% | 3.5% | 4.0% | 4.5% | 5.0% | |
---|---|---|---|---|---|
5年 | 4.57971 | 4.51505 | 4.45182 | 4.38998 | 4.32948 |
10年 | 8.53020 | 8.31661 | 8.11090 | 7.91272 | 7.72173 |
15年 | 11.93794 | 11.51741 | 11.11839 | 10.73955 | 10.37966 |
20年 | 14.87747 | 14.21240 | 13.59033 | 13.00794 | 12.46221 |
25年 | 17.41315 | 16.48151 | 15.62208 | 14.82821 | 14.09394 |
30年 | 19.60044 | 18.39205 | 17.29203 | 16.28889 | 15.37245 |
35年 | 21.48722 | 20.00066 | 18.66461 | 17.46101 | 16.37419 |
40年 | 23.11477 | 21.35507 | 19.79277 | 18.40158 | 17.15909 |
45年 | 24.51871 | 22.49545 | 20.72004 | 19.15635 | 17.77407 |
50年 | 25.72976 | 23.45562 | 21.48218 | 19.76201 | 18.25593 |
なお、上の図に欲しい数値がない場合、「(1 - ((1 + リターン)^(取り崩す年数 × -1))) ÷ リターン」で、年金現価係数をご自分で計算することもできます。例えば、リターンが4.0%で、60歳から女性の平均寿命(86歳)までの26年(=86歳-60歳)の数値が知りたい場合は、(1 - ((1 + 4%)^(26 × -1))) ÷ 4% = 15.98277 と計算できます。また、リターンが1.0%で、取り崩す年数30年の数値が知りたい場合は、(1 - ((1 + 1%)^(30 × -1))) ÷ 1% = 25.80771 と計算できます。
参考記事:年金現価係数(ファイナンシャル・プランニング=6つの係数=)(外部サイト)
2.年金現価係数表を使って、必要額を計算する
年金現価係数表の数値は"運用しながら年間1円"を取り崩すために必要な金額ですから、表の数値に"あなたが年間で取り崩したい額"をかければ、その額を取り崩すために必要な―金額が計算できます。つまり、あなたの取り崩したい年額が180万円(=月15万円)なら、表の数値を180万倍すれば、必要な金額が計算できることになります。以下で、取り崩したい額が180万円の場合の―必要な金額を計算してみましょう。取り崩し条件(リターン・取り崩し年数)は、先ほどの例と同じもの(=リターン:3.0%・取り崩し年数:5年)を使用します。上記の条件だと、年金現価係数は4.57971ですから、180万円×4.57971=824.3478万円 と計算できます。