TOPIX連動ETFの配当は、「確定申告時に"総合課税"を選択する」ことで、配当控除を受けることができます。なお、配当控除は受けられなくなりますが、配当の確定申告には、以下の方法もあります。
- 確定申告時に"申告分離課税"を選択する。
- 配当を確定申告しない(=配当受け取り時の源泉徴収で、税金の支払いを終了)。
ただ、配当控除を受けるために確定申告をする場合、課税所得額が高いと、源泉徴収の税率(=20.315%)より税率が高くなってしまうことがある点に注意が必要です。では、課税所得額がいくらまでなら、総合課税を選択するのが得なのでしょうか?
課税所得額が695万円以下なら、総合課税を選択し、配当控除を受ける方が得になります。
"総合課税を選択して申告"の税率は7.2%~17.41%
課税所得額が695万円以下の場合、"総合課税を選択して確定申告し、配当控除を利用"することにより、配当金の税率は7.2%~17.41%に下がります。7.2%~17.41%の税率のうち、どれが採用されるかは、以下のように課税所得額によって決まります。
- 課税所得金額:195万円以下は、7.2%(所得税:0%(=5%-10%)※補足参照、復興特別所得税:0%(=所得税:0%×2.1%)、住民税:7.2%(=10%-2.8%))。
- 課税所得金額:195万円超330万円以下は、7.2%(所得税:0%(=10%-10%)、復興特別所得税:0%(=所得税:0%×2.1%)、住民税:7.2%(=10%-2.8%))。
- 課税所得金額:330万円超695万円以下は、17.41%(所得税:10%(=20%-10%)、復興特別所得税:0.21%(=所得税:10%×2.1%)、住民税:7.2%(=10%-2.8%))。
図:課税所得額ごとの税率
課税所得金額 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
195万円以下 | 0%(=5%-10%) ※補足参照 |
0%(=所得税×2.1%) | 7.2%(=10%-2.8%) | 7.200% |
195万円超~330万円以下 | 0%(=10%-10%) | 0%(=所得税×2.1%) | 7.2%(=10%-2.8%) | 7.200% |
330万円超~695万円以下 | 10%(=20%-10%) | 0.21%(=所得税×2.1%) | 7.2%(=10%-2.8%) | 17.410% |
695万円超~900万円以下 | 13%(=23%-10%) | 0.273%(=所得税×2.1%) | 7.2%(=10%-2.8%) | 20.473% |
* 参考:税金早見表 ※リンク先の"上場株式等の配当金についての総合課税選択時の所得税と住民税の正味税率"を参照。[大和証券](外部サイト)。
"申告分離課税を選択して申告"、"確定申告不要制度を利用"の税率は20.315%
"申告分離課税を選択して確定申告"した場合と、"確定申告不要制度を利用"した場合との―税率は一律20.315%です。"一律20.315%"の税率ですから、課税所得額がいくらであっても税率は変わりません。税率:20.315%の内訳は、"所得税:15%、復興特別所得税:0.315%(=所得税:15%×2.1%)、住民税:5%"です。
なお、申告分離課税とは、他の所得と"分けて"、税金を計算する課税方式です。申告分離課税を選択した配当は、「上場株式(ETF含む)や、株式投資信託等の―"譲渡損失"」と損益通算できます。ちなみに、損益通算できるのは、<申告分離課税>を選択したときだけで、<総合課税>を選択した場合は、損益通算できません。
また、確定申告不要制度とは、配当受け取り時の源泉徴収をもって納税を完了する課税方式です。源泉徴収で納税が完了しますので、確定申告をする必要がありません。ただし、この納税方法を選択した場合は、"配当控除の利用"や"株式投資信託などとの損益通算"をすることができません。
図:"申告分離課税を選択して申告"、"確定申告不要制度を利用"した場合の税金
注意)確定申告をすることで、分配金の分だけ所得金額が増えることになるため、不都合が起こる可能性もあります。確定申告で起こる不都合は、国民健康保険料などの支払いが多くなったり、扶養から外れる可能性がある―などです。そのため、総合的に考えて確定申告をするか判断してください。