NISA口座で運用を行う場合、リバランスが必要になる可能性が高いです。(1)NISAは最大10年間運用益に税金がかからない*など、長期投資に向いた設計になっていますが、(2)投資期間が長くなるほど資産価格が大きく動きやすく、資産バランスが当初のものと変わってしまう可能性が高いからです。
* 投資資産の非課税期間(5年)終了後に、投資資産を新規の投資枠に移管する(=ロールオーバー)ことにより、1回だけ非課税期間が5年延長されます(計10年(=5年+5年))。
なお、リバランスとは、アセットアロケーション**を最初に決めた割合に戻すことです。例えば、100万円を、国内株式 50%(=50万円):海外株式 50%(=50万円)の割合で、運用し始めたとします。その後、値動きによって資産価格が、国内株式 30%(=30万円):海外株式 70%(=70万円)に動いたら、当初より上がった"海外株式"を20%(=20万円)売って、当初より下がった"国内株式"を20%(=20万円)買うことで資産割合を元に戻します。このように資産割合を元に戻すことにより、自分が最初に想定したリターン・リスクを維持することができます。
** 運用資産全体に占める―各資産分類(国内株式・国内債券など)の割合のこと。
ただ、リバランスには、売却が必要になります(例では、海外株式を20%(=20万円)売却しています)。「NISAの限度額」で解説したように、NISA口座で購入した金融商品を後日売却しても、"売却した分の投資枠"を再利用することはできません。この仕組みにより、NISA口座ではリバランスがしづらくなっています。上記の例では投資枠:100万円を使い切っているため、海外株式を20万円分売却した後に、NISA口座で国内株式を20万円分購入することができないのです(「最初の投資額が80万円だった」など、20万円分の投資枠が余っていれば可能)。
そのため、NISA口座では、"売却以外"の方法でリバランスをする必要があります。売却以外の方法で行うリバランスには、以下があります。
追加投資枠100万円を使ってリバランス
資産バランスを戻すために増えた資産を売却しないなら、減った資産を買い増すしか方法はありません。しかし、投資枠を使い切ってしまった場合、買い増す資金は投入できません。そういう時は、毎年追加される100万円の投資枠を使ってリバランスします。
先ほどの例:国内株式 30%(=30万円)、海外株式70%(=70万円)を、各50%に戻す場合を考えてみましょう。追加された100万円の投資枠で、国内株式に70万円・海外株式に30万円投資します。すると、国内株式 50%(=100万円)・海外株式 50%(=100万円)になり、資産バランスが元に戻ります。
図:追加投資でリバランス
バランスファンドを使うことでリバランスを不要に
毎年追加される―投資枠を使うことで、リバランスすることができます。ただ、上記の方法は、どの資産にいくら投資すればいいかを計算しなければならないため、少し面倒です。また、運用資産が大きくなってくれば、100万円で修正できないズレが発生する可能性もあります。では、どうすればいいのでしょうか? バランスファンドを使うことで、リバランスを不要にします。
(1)投資家がリバランスをする場合、"資産の売却"、または、"追加投資"が必要になりますが、(2)バランスファンドはファンド内でリバランスを行ってくれるため、投資家がリバランスをする必要はありません。したがって、バランスファンドを使えば、リバランスが不要になります。
図:リバランスを自動でおこなってくれるバランスファンド