株式と債券とを組み合わせることで、値動きを小さくすることができます。値動きが小さくなるのは、株式と債券とが、逆の値動きをする傾向があるからです。
ただ、債券をおおく組み入れるほど、収益が下がってしまいます。しかし、収益に目がくらんで、株式の比率を上げすぎないことが重要です。
- 株式と債券とを組み合わせることで、リスク(=資産価格の変動の幅)は下がる
- 株式と債券とを組み合わせると、リスクは、2つの平均よりも下がる
- 債券を組み入れるほど、収益が下がる点に注意
- 収益に目がくらんで、自分が耐えられないリスクの組みあわせにしないことが大切
株式と債券とを組み合わせることで、リスク(=資産価格の変動の幅)は下がる
収益の高い株式だけ(投資内容は、日本株式10%・外国株式90%)に投資した場合、リスクが非常に大きくなります。株式のリスクは、18.35%です。これは、株式の価値が、年間±18.35%も動くことを表しています。
投資する際は、"株式"と、"リスクが低い日本債券"とを組み合わせるべきです。日本債券のリスクは、5.4%です。そのため、日本債券の価値は、年間±5.4%程度しか動きません。
この低リスクの―日本債券を資産に組み入れることで、資産全体のリスクを下げることができます。
株式と債券とを組み合わせると、リスクは、2つの平均よりも下がる
実際に、株式と債券を組み合わせた場合に、どの程度リスクが下がるのかを見てみましょう。
例えば、株式と日本債券とを50%ずつ組み合わせると、リスクは、株式と日本債券との平均値になる―と思われるかも知れません。株式のリスクは18.35%で、日本債券のリスクは5.4%ですから、きっとリスクは11.88%(=(18.35%+5.4%)÷2)になるだろう―というわけです。
ところが、リスクは、2つの平均(11.88%)よりも大きく下がります。実際のリスクを計算すると、平均値より低い―9.49%でした。なお、リスクの計算は、少し複雑なので省略しますが、平均よりもリスクが下がることがおわかりいただけたでしょうか。
債券を組み入れるほど、収益が下がる点に注意
株式100%から、50%に下げる(50%は日本債券を組み合わせる)と、期待できる収益は、4.98%→3.99%に下がります。株式100%(投資割合は、日本株式:10%・外国株式:90%)であれば、収益は4.98%(=4.8%:日本株式の収益×10%+5%:外国株式の収益×90%)です。これに日本債券を50%組み入れた場合の収益は、3.99%(=4.98%:株式の収益×50%+3%:日本債券の収益×50%)に下がります。
一方、リスクは、18.35%→9.49%に下がります。つまり、年18.35%上下に変動する可能性があった値動きの幅を、年9.49%にできました。
リスクから、「最大でどのくらいの損失がでる可能性があるのか」を計算すると、-31.72%→-14.99%に下がります。リスクから、最大でどのくらい損失がでるかを計算する―計算式は、"収益-(リスク×2)"です。
最大損失額は、あなたの投資額によって異なりますので、計算してみてください。例えば、あなたの投資額が100万円だとすると、株式100%の1年間の最大損失額は-31.72万円(=100万円×-31.72%)・株式50%の1年間の最大損失額は-14.99万円(=100万円×-14.99%)ということになります。
収益に目がくらんで、自分が耐えられないリスクの組みあわせにしないことが大切
「積み立てで2,000万円用意できそうだから、その時に年100万円の収益は欲しいな・・・ということは、5%の収益が必要(2,000万円×5%=100万円)だから、日本債券は組み入れずに株式100%にしよう」―というような順番で考えると危険です。
この考え方は、あなたがどのくらいの損失に耐えられるか?という視点を無視しています。もし、その組みあわせが、あなたの耐えられる損失よりも大きい―損失が発生する組みあわせだったら、とても困ることが起こります。積み立て途中で暴落が起こった場合に、大きな損失にびっくりして、その時点で資産をすべて売却してしまう可能性があるのです。
資産をどう組みあわせるか?を考える順番は、耐えられる損失→収益です。まず、あなたが耐えられる損失はどのくらいか?をよく考えてから、どの程度日本債券を組み入れるかを考えましょう。この組み合わせから、得られる収益が計算できるのです。この順番を間違えないようにしてください。